単純接触効果

心理士・こころ
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   人や物事など、自分が否定的感情を持たないある対象への接触を反復すると、その対象への好感度が高まるという事実は、古くから知られ、20世紀初頭から研究されていました。 この事実が心理学の分野で『単純接触効果(Mere Exposure Effect)』として、注目されるようになったのは、 ミシガン大学の R.B.Zajonc の論文 " ATTITUDINAL EFFECTS OF MERE EXPOSURE(単純接触効果)" によります。 R.B.Zajonc は、意味の無い単語、漢字あるいは顔写真を使用し、単純接触効果を統計的に確認しました。
単純接触効果の対象物としては、言葉、漢字、絵画、人の顔、幾何学的図形、音など、様々なものが該当し、 最初に親しみを感じていない対象物でも、接触する回数が多くなれば好感度が高まって行きます。 接触する時間は短くても、回数を増やすことが重要で、効果を確認するには少なくとも10回以上の接触が必要です。 この単純接触効果は、社会心理学の分野では『親しみの原理(familiarity principle)』としてよく知られています。
   認知心理学の分野では、1980年代から潜在記憶(Implicit Memory)に関する研究が活発になってきました。 潜在記憶とは、無理に思い出そうとしなくても自然に思い出せる無意識の記憶のことです。 例えば、言葉を話したり、ご飯を食べたり、我々の日常生活のほとんどの行動は潜在記憶を呼び起こすことによって行っています。 そして、単純接触効果も、この潜在記憶によるものであることが解明されてきました (潜在記憶現象としての単純接触効果)。 潜在記憶は顕在記憶と乖離しており、わずかな接触の効果でも極めて長時間続くのが特徴です。
単純接触効果で、注意すべき点は、最初に不快な感情を持っている対象物に対しては、会えば会うほど嫌悪感が増してくるということです。 このため、初対面で悪い印象を与えると、これを覆すには相当の努力が必要になります。
   では、単純接触効果を恋愛に有効に活用するにはどうすれば良いのでしょうか。 まず、好意をもつ相手に対し、悪い第一印象を与えないように注意します。 初対面の時には、笑顔で軽く会釈をするか、軽い挨拶程度に済ませます。 初対面では、相手があなたに対して持つ感情は白紙の状態ですので、いきなり深入りしないのが良いでしょう。 そしてその後は、少しの時間(一瞬でも可)で結構ですので、できるだけ頻繁に相手の視界に入るようにし、その時、笑顔で会釈か軽い挨拶をしましょう。 このような接触を根気よく数十回繰り返せば、相手の中であなたに対する好感度は高まっているはずですので、時期を見計らって声をかけてみましょう。

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