つり橋効果

心理士・こころ
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   『強い恐怖や不安を感じている時は異性の性的魅力が高揚される』という効果を、 実験が行われたつり橋にちなんで、つり橋効果(Suspension Bridge Effect)と呼びます。 カナダの心理学者、 D.G.DuttonとA.P.Aron によって1974年に発表された論文 " SOME EVIDENCE FOR HEIGHTENED SEXUAL ATTRACTION UNDER CONDITION OF HIGH ANXIETY(高不安環境下における性的魅力の高揚に関するいくつかの証拠)" で実証され、概ね正しいとされる学説です。
   実験はカナダの2つの橋の上で、18歳~35歳の独身男性159名の被験者に対して行われました。 1つの橋は普通の安全な橋で、もう一つは、木製の狭いつり橋で、傾き、揺れ、そして手すりも低く、いかにも不安を煽りそうな橋です。 被験者に橋を渡ってもらい、橋の途中でインタビュアーが、被験者に 『心理学のクラスで景色が創造的表現に及ぼす影響の実験をしている』と告げ、 いくつかの短い質問に答えてもらった後、写真に基づいたドラマチックなストーリーを書いてもらいます。 被験者159名中、90名がインタビューに答えてくれました。 そして、インタビューの最後に、『時間がある時に実験について詳しく説明しますので電話してください』と言って、 紙の端を破り、インタビュアーの名前と電話番号を書いて被験者に渡します。
実験は女性インタビュアーと男性インタビュアーの両方で行われました。 電話番号を受け取った割合は、安全な橋もつり橋もほぼ同程度で、女性インタビュアーの場合は約75%、男性インタビュアーの場合は約30%でした。 これは、ほぼ想定内の割合と言えるのではないでしょうか。 しかし、電話番号を受け取った被験者の内、電話をかけてきた割合は、女性インタビュアーの場合のみ、有意な差が見られました。 即ち、安全な橋では 13% の被験者からしか電話が無かったのに対して、つり橋では、何と 50% の被験者から電話があったそうです。
この論文には他にも2種類の実験を行っていますが、強い恐怖や不安を刺激するつり橋という場所では、 女性インタビュアーにより魅力を感じた男性被験者が多いことがわかります。 即ち、強い恐怖や不安という感情が、異性の性的魅力を高揚していることを示しています。
   この実験はつり橋という特殊な環境での実験ですが、必ずしもつり橋である必要はありません。 あなたが、この実験結果を活用したいなら、相手が恐怖や不安を感じる場所や時期にアプローチすれば成功する確率が高くなるということを覚えておいて下さい。 また、相手が恐怖や不安を感じる場所や時期に、あなたが活躍しているシーンを見たり、あなたから親切を受けたりすれば、あなたのイメージアップ効果は抜群でしょう。 恐怖や不安を感じる場所や時期には個人差がありますが、例えば、ジェットコースター、お化け屋敷、 地震後、試験の前後、親戚や友人の事故や入院後などが考えられるでしょう。
ただ、このような特殊な環境下で取得した愛は、冷め易いという報告もありますので、その後の努力も忘れないようにして下さい。

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