恋愛の結晶作用
心理士・こころ
様々な作家が恋愛について書いてきましたが、
フランスの小説家スタンダール(Stendhal, 1783年1月23日 - 1842年3月23日)が44歳の時に書いた『恋愛論』がよく引用されます。
スタンダールによれば、恋愛には『情熱的恋愛』、『趣味恋愛』、『肉体的恋愛』、『虚栄恋愛』の4種類があり、
この中で『情熱的恋愛』こそ真実の恋愛であり、以下の7つの段階を辿ると考えました。
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感嘆 ・・・
相手の魅力にハッとして、トキメキを覚える段階。
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自問 ・・・
常に相手が気になり、『あの人にキスされたらどんなにいいだろう』などと自問する段階。
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希望 ・・・
『あの人も私のことを好きかも』という期待を持ったり、相手のちょっとした仕草の変化で不安になったり、希望と不安が混在する段階。
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恋の発生 ・・・
相手とできるだけ一緒にいたいという気持ちが高まり、
例えば、相手を見つめ、声を聞き、接触するという自分の五感で、相手の存在を感じ、喜びを覚える段階。
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第一の結晶作用 ・・・
相手がすばらしく魅力的に見えてしまう、『あばたもえくぼ』のような心理状態に陥ります。
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疑惑 ・・・
気持ちがやや冷静になり、当たり前になっている現在の幸福に対し、
『相手は本当に私を愛しているのだろうか』と疑うようになり、相手が自分を愛しているという確かな証拠を求める。
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第二の結晶作用 ・・・
疑惑の後に、 『やっぱり私を好きなんだ!』という確信に変わった時に、さらに相手がすばらしく魅力的に見えてしまいます。
第一の結晶作用よりも第二の結晶作用の方が結晶作用が強く現れます。
ここで、『結晶作用』とは、恋愛によって恋愛対象を美化させてしまう心理を『ザルツブルクの小枝』に例えて『結晶作用』と呼びました。
モーツァルトの生誕地である、ザルツブルグは、その名(ザルツ(塩)ブルク(城))の通り、岩塩の産地です。
ザルツブルグの塩孔に投げ込んだ小枝が、数ヵ月後には白い塩の結晶で覆われ、
白く輝く無数のダイヤモンドのように見え、とても元の小枝には見えなくなってしまうことから、
『恋愛対象を美化させてしまう心理』の比喩として使用されました。
正に、『恋は盲目』ということですね。