夢占いの歴史
夢占い師・ゆめ
ヨセフの夢占い
のように、夢占いは旧約聖書にも出てくる特別な人が持つ不思議な能力、あるいは神のお告げとして記述されています。
このため、夢占いは迷信として受け止められ、疑似科学的な扱いをされてきました。
夢占いを疑似科学から科学へ変貌させたのが、
オーストリアの精神医学者であるジークムント・フロイト(Sigmund Freud)が1900年に発表した
『夢判断(Die Traumdeutung, The Interpretation of Dream)』という夢に関する精神分析学の研究です。
フロイトは、それまで迷信と考えられてきた夢について、初めて精神分析学および心理学に裏付けられた科学的な研究を行い、
『抑圧されたリビドー(Libido:根本的な欲望)が、無意識に基づいて統合されたものが夢である』と解釈しました。
フロイトの夢判断(夢占い)
フロイトの夢判断(夢占い)では、夢は無意識によるリビドーの表現であり充足ですので、夢にはあなたの深層心理が表現されています。
実社会においてリビドーが抑圧されることにより、ストレスが無意識の中に溜まります。
そして、睡眠中に無意識が開放され、頭の中でイメージ化されたものが夢となって現れることが多いようです。
無意識の中でストレスを抱え切れなくなると精神障害を起こしますので、夢診断により精神状態を把握することは重要になります。
実際、フロイトは、患者の見た夢の内容からその人の精神状態を解析し多くの患者を救いました。
フロイトは、性のエネルギーが活力源となっているとして、リビドーを『性的欲望』と解釈しました。
即ち、性的な抑圧により、無意識の中にストレスを溜め込み、これが夢となって現れるという解釈です。
ただ、夢の中でも、大なり小なり抑圧や検閲は行われますので、性的欲求がそのまま夢に出現するわけではなく、歪曲されて現れます。
例えば、男性のシンボルなら銃、鉛筆、ペン、マイク、バナナあるいはロケットなどとなり、女性のシンボルなら穴、洞窟やトンネルなどとなって現れます。
ユングの夢判断(夢占い)
フロイトと並んで夢判断(夢占い)の世界で有名なのがスイスの精神科医であり心理学者のカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)です。
彼は、フロイトの論文『夢判断』に共感し、フロイトと親交がありましたが、
次第にフロイトとの理論的な違いを認識し、フロイトと袂を分かつようになりました。
フロイトはリビドーを『性的欲望』と解釈しましたが、ユングはリビドーにはもっと広く様々な意味があると反論し、
リビドーを『様々な欲求に変換可能な心的エネルギー』と解釈しました。
この解釈は、現在の精神分析学の正式な解釈として定着しています。
またユングは、夢は人が抱えているコンプレックスなどの精神的な問題や様々な心理をを溜め込んだ『無意識』を表現したものであり、
無意識からのアドバイスだと考えました。
フロイトは、無意識を『抑圧された欲求のごみ捨て場』のように認識しましたが、ユング自身は無意識を『人類の歴史が眠る宝庫』と例えています。
さらにユングは、無意識には個人に特有の深層心理を表わす『個人的な無意識』と、民族あるいは人類に共通した『集合的無意識』があると考えました。
即ち、日中は無意識の中に閉じ込められた個人的心理や集合的心理が、眠りの中で開放され、様々な形の夢となって現れて来る訳なのです。
参考文献
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夢判断 上 (新潮文庫), 高橋 義孝 (翻訳)。
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夢判断 下 (新潮文庫), 高橋 義孝 (翻訳)。
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ユング心理学入門(培風館), 河合 隼雄。
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